明陽智能 中国で16MW規模の洋上風車の運転を開始【世界の市場を席巻する中国メーカー】

風車製造、発電所開発で世界を席巻する中国
国主導で風車製造と大規模な洋上風力発電所の建設を進めている中国ですが、GWEC (Global Wind Energy Council)が発表したレポートがその勢いを物語っています。

Source: JWPA

2022年における風車の新規設置ベースでのシェアは、首位はデンマークのVestasですが2位は中国国営企業である金風科技(Goldwind)、SGRE、GEと欧米勢が続きますがそれ以下はほとんどが中国メーカーとなり、上位15社のうち約55%を中国メーカーが占めています。

Source: JWPA

また、国別シェアも中国が群を抜いていることが分かります。
2022年に新規に設置された洋上風車8.8GWのうち58%が中国国内であり、これまでの累計設置容量シェアでも49%と断トツの1位です。(2位は英国の22%)
2021年の中国国内での新規設置が異常に伸びているのは、この年に洋上風力発電の電力優遇買取制度の締め切りが設定されており、駆け込みで新規着工が急増したためです。

中国勢3位の風車メーカー明陽智能
今回世界最大規模の16MW洋上風車を稼働させた明陽智能は中国国内で3位、世界で6位の設置シェアを持つ、2006年に設立された民間の風車メーカーです。
大規模風車の製造・設置の他にも、ジャケット式基礎の水中のトラス部分を魚の養殖に活用するなど珍しいアイデアを含んだ事業を展開しています。

Source: offshoreWIND.biz

日本における明陽智能

Source: Windjournal


日本国内でも、ウェンティ・ジャパンが開発した富山県の入善町沖の洋上風力発電所でも明陽智能製の風車は使用されています。
元来は日立製作所製の2MW風車を4基設置する計画でしたが、日立製作所が風車製造から撤退したことを受けて明陽智能製の3MW風車3基を設置する計画に変更したようです。
開発事業者が開発に当たって調査する風況や海象データは風車の設計に必要不可欠である一方、防衛上も重要なデータですが、風車の設置、O&Mの中で取得するこれらのデータは「中国には持ち出さない」ことで明陽智能と合意しているとのこと。

日本国内にもかつては日立製作所や三菱重工、日本製鋼所など風車製造を手掛けるメーカーが複数存在しましたが、現在はメーカーの不在が続いています。
かつては太陽光パネルでも日本企業が市場を席巻した後に、大量生産による低価格攻勢で中国メーカーが市場を奪っています。
現在陸上・洋上風車のシェア上位は欧米勢が死守していますが、国際認証の取得などが進めば、数年後の市場は中国メーカーに席巻されている可能性もあります。

以下は筆者による私訳です。
同社によると、Mingyang Smart Energy社のMySE 16-260洋上風力タービンが中国で試運転を開始し、フル稼働している。
Mingyangは2021年8月にMySE 16-242モデルを発表し、16MWタービンを発売した。
昨年12月、MingyangはMySE 16-260洋上風力タービンの最初のブレードを生産したと発表し、これは世界最大の台風対策風力タービンブレードであると述べた。
同社によると、ローター直径260メートルのMySE 16-260の掃引面積は53,902平方メートルで、年間67GWhの発電能力があるという。
Mingyang社は最近、南シナ海にあるMingyang Qingzhou 4洋上風力発電所への最初のMySE 12-242風力タービンの設置を完了したばかりで、この風力発電所には16.6MWの風力タービン2基が設置される予定である。
先月報告したように、中国三峡(CTG)とゴールドウインドは最近、福建省屏丹市にあるCTGの400MWのZhangpu Liuao洋上風力発電所に世界初の16MW風力タービンを設置した。
ゴールドウインド社のGWH252-16MW型は、ローター直径252メートル、掃引面積約5万平方メートルで、ゴールドウインド社によると年間66GWh以上のクリーン電力を発電できる。


RELATED:  DEME ケーブル敷設船Viking Neptunを取得 【欧州マリコンの雄DEMEとは】
タイトルとURLをコピーしました